お知らせ

お知らせ

続「不思議な世界」

『不思議な世界』。 島野です.

桜のシーズンが始まりますね。

時は江戸時代。染井村に住む老植木職人が、湯治の為伊豆に長逗留をしていました。ある日、桜の林の中で、葉が開く前に大きな薄桃色花を見事に一杯咲かせている壮観な一本の桜の木を発見しました。逗留の間毎日眺めていました。花の時期が終わると、今度は一斉に花が散り始め哀愁を誘いました。長逗留も終わり、その桜の木の枝と、わずかに実っている種を染井村に持ち帰りました。持帰った枝で挿し木をし、持帰った種を蒔きました。数年後、挿し木した木は、伊豆で見た桜と同じ見事な花を咲かせています。種から育てた木も花を咲かせましたがどうしたことか、違う特徴の花を咲かせました。老植木職人は、待ち帰った枝から育てた桜の木から次々と挿し木、接ぎ木で多数の木を繁殖させました。その花の美しさが大評判となり「ソメイヨシノ」と名付け染井村一番の長者様に成ったとさ。染井村の老植木職人の話は、終わり。

さて時は進み科学の時代がやってきました。

有る科学者が各地からソメイヨシノの枝を集めてDNA分析をしました。驚いたことに全て同じDNAを待ち、1本の挿し木、接ぎ木で繁殖したソメイヨシノのクローンであることがわかりました。DNAの50%はエドヒガン、40%がオオシマザクラ、残り10%は、多種の桜の微量DENに由来する雑種でした。なんと奇跡のようなDNA配合、遺伝子配列がソメイヨシノを作っていることがわかりました。ソメイヨシノは、自然が創造した不思議です。まるで素晴らしい特性を持つ鋳造製品の成分配合のようです。

桜の木の遺伝子は、縛りが緩く、桜は沢山の雑種を作ります。桜のの様に雄シベ、雌シベが揃っている花を両性花と云います。同じ木の花粉が同じ木の雌シベに受粉しても、種子を作りません。これを自家不和合と云います。

ソメイヨシノは、実を作らないと云われていますが、たまには実をつけている木もあります。ソメイヨシノの8個の染色体をもつ雌シベに、ソメイヨシノ以外の桜の8個の染色体が合体して種子を作る事が有ります果ソメイヨシノと全く違う新たな雑種が生まれたこととなります。どんな特性を持っているのか、

ソメイヨシノ以上の素晴らしい特性を持った

雑種が出来る可能性も有ります、でもその可能性はとても低いと思っています。

ソメイヨシノに、一つの心配事が有ります。

ソメイヨシノは、同じ遺伝子を持つ1本の木から生まれ、同じ性質、同じ時期に一斉に咲き、同じ時期に一斉に散ります。もしソメイヨシノに寿命が有るなら、一斉に寿命が無くなり、私たちの世界から消えてしまうのでしょうか?

すぐそこまで桜のシーズンが来ています。

桜の名所は、沢山有ります。皆様が桜を楽しまれることを、心から願っています。